腰痛最新情報
腰痛患者に迅速な画像診断は不要
1804人を対象としたメタ分析の結果
Imaging strategies for low-back pain: systematic review and meta-analysis
【対象】
- 重篤な基礎疾患が見られない腰痛患者に対して、迅速に画像診断を行った場合と、画像診断なしに通常のケアを実施した場合の臨床転帰を比較し無作為化試験を対象に、計1804人のメタ分析を行った。
【結果】
- 痛みと身体機能において通常ケア群に比べ、迅速画像診断グループの転帰が優位であることを示すデータは得られなかった。
- 追跡期間が短期(3か月以内)・長期(6~12カ月)共に、痛み・身体機能の標準化平均差すべてに有意差がなかった。
【結論】
- 重篤な基礎疾患が見受けられない腰痛患者に迅速な画像診断を行っても、予後の改善はないため、画像撮影の日常的な適用は避けるべきだと結論した。
(Lancet誌2009年2月7日号より)
腰痛を訴えて当たり前のように現在も画像検査されます。
そろそろ腰痛疾患の診療体系を考えてもらいたいものです。
重篤な疾患は確率的に低いです。
レントゲンを撮り改善の役に立ちましたか?
画像では痛み・しびれは写りません。
椎間板ヘルニアは痛みの原因か?
【対象と方法】
- 強い症状を訴える椎間板ヘルニア患者46名と、年齢・性別・職業などを一致させた健常者46名の腰部椎間板をMRIで撮影し、内容を知らない2名の神経放射線医が読影。また、事前に心理社会的側面を探るためにアンケートを実施。
【結果】
- 健常者の76%に椎間板ヘルニアが、85%に椎間板変性が認められる。年齢、性別、仕事などを一致させた比較である。
- 無症状群が画像上76%と椎間板ヘルニアの所見を多く認めた。有症状群は96%と高率であったが、この76%は先の報告などと比べても高頻度であった。
- 椎間板突出は、有症状、無症状群の順に、35%、13%。椎間板の変性は順に、96%、85%であり有意差を認めなかった。
- 唯一、有意に差があったのは、神経根の所見で、順に83%、22%であった。
- 仕事の受容度と精神的側面は非常に関係があった。
(Boos n et, Spine 1995)
画像検査をしても健常者の76%に椎間板ヘルニアが、
85%に椎間板変性が認められます。
画像は正確に写しているのです。
しかし、読影者がヘルニアが痛みの原因だと画像で判断しているだけです。
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